物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

逆転

いつの間にか、自分を人見知りだとは思わなくなった。人と話すことに慣れたからかもしれない。そもそも人見知りなんてものは存在しないのかもしれないとも思う。 人見知りというものを仮に初対面の人と話すのが苦手な性格だとするならば、そこには矛盾が生じ…

組織

組織がまとまるということの難しさを感じている。全員の意見が尊重されるという安心感がないからか、運営方針が合わない人がいるからか、自分の意見が絶対的に正しいと思っている人がいるからかはわからないが、一時はチームとしてまとまっていた組織が分裂…

自立

大学に入って親元を離れてから、自立するために努力した。きっかけは、自分がいなくなればいいと思ったこと。幼い頃から「お金がない」と言いながらため息をつく両親の姿を見て育ち、自分がいなくなれば彼らは幸せになんじゃないかと思い至った。親の目に映…

役割

「この世のすべてのものには役割がある」という考え方が好きだ。水や植物は生き物の生命維持のためにあるとか、毛は体温を恒常的にするためにあるとか、そういうの。 役に立たない人間は存在しないと思う。いるのは、自分を役に立てる方法を知らない自分と他…

下手

昔から、感情を出すのが下手だ。象徴的な記憶の一番古いのは、小学生の頃。毎週2回、塾に行って課題のプリントを数枚解くというのを繰り返していた。チョロい問題は軽く解いていたのだが、どうしても解けない問題に当たったとき、ぼくはプリントをビリビリに…

優慮

「優しさとは、しないことである」と、何かで読んだ気がする。何かは忘れた。だが、それだと思った。 ぼくの両親は、とてつもなく過保護な人だった。学校に行く準備も、夏休みの自由研究も、習い事も、子供の着替えも、旅行の準備も、雨に濡れた靴の始末も、…

遺伝

今までは気づかないふりをしてきたが、認める。ぼくの行動は、けっこう母親に似ている。 台風が来た日、ホームに食料やお菓子を持ち込んで友達と遊ぶ準備をしていた。滅多に休まない学校が休みになり、最接近の数時間前から凄まじく吹き荒れる外の風景を見な…

告白

今日は、あの夜の出来事を文字にしようと思う。今も続けているインターン先の面接を終えた日のこと、「ちょっと今から告白してきます」と今の上司に言って出かけた夜のことを。 きっかけは前日、移動中の車での出来事。何気なく話しているときに突然「好きだ…

物語

自分の人生を、物語としてプレゼントしたいと思う。出会ってから死ぬまでのすべてを、心に残る小説のようにして。先に死んだら遺骨からダイヤモンドを作ってもらってそばに居続けるというような、死んでなお美しく続く物語として。 生きる意味を探してきた。…

授業

大学に対して不真面目なまま4年半が過ぎた。課外活動に精を出し、休学などをして「自分の人生のためだ」という大義名分のもとにいろいろ頑張った。実際、それらの経験は自分を好きにしてくれたし、人生のパートナーを贈ってくれた。過去の自分がしてきた選…

背中

映像制作をしている親友がいる。彼は高校時代、文化祭のCM大会で映像制作をしたことをきっかけに才能が開花し、大学時代はVJとして数々の箱を沸かせながら果ては武道館でVJをしたそうな。ぼくから見ると、彼は本当に自分の好きなことをやっているのだと思う…

台風

600字作文の更新が滞って3日が経った。なんだかとてつもない開放感に襲われている。生きることに縛りがないって素晴らしい!と感じているが、やっぱり自分との約束は守らなきゃなと思うので、3記事書こうと思う。 白状させていただくと、記事が滞っているの…

物差

「お前のモノサシで測るんじゃねーぜ」 昔、少年サンデーに載っていた『月光条例』という作品の主人公が、そんなセリフを言っていた。当時、親に抱いていた気持ちがどうにも形容できずモヤモヤしていたぼくは、そのセリフに感銘を受けた。 彼らが彼らの基準…

素顔

人の素を見るのが好きだと何度か書いたことがある。生存戦略として敵対ではなく友好を選択して生きているからかもしれない。ぼくのコミュニケーションはいかに相手の素顔を引き出すかに寄っているなと日々思う。自分の根元にあるのはやはり寂しさで、人とつ…

魅力

ここ数日、性癖の壁がメキメキと広がるのを感じている。様々な魅力を理解し言葉にできる人間になりたいという志は、自分の根っこから出てきたものであるようだ。すれ違うすべての女性の姿を見ながら、それぞれの魅力が何か、プレゼントのような言葉で描き出…

集中

集中モードに入るためのルーティンはやはり作るべきだと、今日も何百回と思った。原稿を書き始めようとしている時間って本当にいらないよな〜と頭をかきむしりすぎてだんだんとつむじ周辺がハゲてきているのがわかる。 集中とは少し違うかもしれないが、人が…

二重

「二重」という言葉が装飾語として用いられるとき、基本的に”より良い”というニュアンスを与える。二重丸、二重(ふたえ)、二重跳び、二重扉といった具合に、より良く、よりすごい、より安全であるという風に意味を増す言葉だ。それにも関わらず、「二重あ…

性癖

一見細いのに、座ると柔らかく形を変える太もも、だらしなさの中に引き締まった肉を見せる二の腕、はち切れそうなのを必死に耐えている下腹、そんなものにエロスを感じる。それらはギャップだ。ただの太もも、ただの二の腕、ただの下腹だと思っていたそれら…

未熟

自分の感情をあらわにする怒り方をするのは未熟なのだと思って生きてきた。「そんなことで怒るな。子どもかよ。」と誰かに言われ、たしかにそうだと納得してしまったからだと思う。何をもって人を大人と定義するのかと聞かれれば、「理解することをやめない…

終戦

長きに渡る母親との戦争が終わった。それは、理解を求める戦いだった。その起こりは、母親の言動の不一致への不信感。「電気を消せ」と言い、ぼくたちが電気を消し忘れると怒鳴るわりに自分が消し忘れても笑っている。相手の立場に立って考えろというわりに…

少年

帰省している。久々に見る山口は、変わっているところも多々あれば変わってないところも多く、忘れていたいろんなことを思い出す。通っていた塾の周りで煮干しをあげていた野良猫の汚さ、実家の隣がお好み焼き屋だったこと、通い慣れた図書館の居心地、親の…

健康

健康を気にするあまり、人は不健康になるのではないか。久々に帰省をした母を見て思った。 ぼくの母は生粋の自然主義者だ。使う洗顔石鹸はドグダミの葉っぱ由来、砂糖は使わず『てんかん』という植物由来で糖分のないものを使う。飲む酒は養命酒だし、料理は…

性暦

性に目覚めたのは4歳の頃だったと思う。幼稚園に通っていたぼくには既に、先生の年齢と胸の大きさを確認し、それが揉むに足る胸かそうでないかを判断する機能がついていたことを覚えている。とにかく胸が好きだった。今では大変申し訳なく思っているが、その…

標語

「どうでもいい」という言葉を心に置いてきた。ずっと、ぼくを支えてくれた言葉だった。 仲の悪い両親のどちらに着いて行くかと父親に質問されたとき、誰かと喧嘩して関係を保つための努力がめんどくさくなったとき、友達に「明日から話しかけるな」と言われ…

厨二

いまや「厨二病」という言葉は死語なのかもしれないが、日に当てて成仏させておきたい過去がある。イキっていた中高の頃の話だ。自分にしかないと思いがちな、けれど誰にでもあるような恥ずかしい思い出をここに、つらつらと書き記していきたいと思う。 一番…

取材

その人がどんな人なのかを知るための取材をしてしまう。ぼくは取材を、人間性を引き出す場として捉えているらしい。だが取材というのは仕事だ。自分の欲求を満たす時間ではないと反省した。 今、企業のホームページ制作に関わらせていただいている。そのコン…

背水

追い込めば、勝手に動くものだと思っていた。高校・大学受験のときはそうだった。「大学に受からなければ自殺」と言い聞かせると、毎日勉強を頑張れた。でもそれは、勉強をすると大好きな先生たちに褒められたからだ。大学に入り「大学をやめればライターに…

呪怨

『死霊館』を観た。1900年代に起こった史上最大の悪魔事件を元にした映画だ。バスシーバという悪魔が取り憑いた家に越してきた家族の悲劇と、悪魔祓いを生業にしている夫妻の活躍を描いたストーリーは、実話だという点を鑑みると大変興味深い。現実離れして…

武装

昔から、何かを持ち歩くことで自分の精神を守ってきた。小学生の頃はそれがカッターナイフ。大学1年の頃まで持ち歩き、もはや紙を切る道具よりお守りに近いものとして認識している。 そして、あるときは本。小学校や中学校では、休み時間になるとだいたい図…

才能

突然だが、ぼくは運命というものを信じている。生きていく上で何かしらの選択をする際の葛藤や感情の揺れとは別に、大きなシナリオのようなものに導かれている気がしてならない。そのシナリオを辿るのに必要なのが直感で、辿っていくと人それぞれの役割や生…