物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

2018-07-01から1日間の記事一覧

平等

平等という言葉は、歳を取るごとにその定義がアップデートされていくものだと思う。小さい頃、幼稚園で先生が読み聞かせていた戦争の本を見て、世界に平等がないことを知った。そこには地雷で足を吹き飛ばされた少年の姿が写っていた。当時の私には、そんな…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで⑤

今回は、『炎上する君』の内容について。 又吉さんの本の紹介を読んでいてすごいなと思うのは、それぞれの本を的確に表す言葉を置き、その言葉に合った自身の体験を引き出してこれる、さらにその体験がおもしろいところですね。 又吉さんは『炎上する君』を…

風景

眠っている間に見た風景の中に、唯一はっきりと覚えているものがある。あの夢を最初に見たのは、幼稚園生のときだった。 その夢のなかでぼくは、幼稚園のバスに乗り、ほかのみんなと遠足に向かう途中だった。その夢は、上から俯瞰する視点で投影されていた。…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで④

今回は、『杳子(『杳子・妻隠』より)』の内容について。 この本は、山中の深い谷底で出会った"彼"と"杳子"の物語らしい。 「心に闇を持つとの愛を柔らかく綴った切ない小説」だと、又吉さんは紹介している。 『杳子』を紹介するにあたって又吉さんは、自分…