物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで⑤

今回は、『炎上する君』の内容について。

 

又吉さんの本の紹介を読んでいてすごいなと思うのは、それぞれの本を的確に表す言葉を置き、その言葉に合った自身の体験を引き出してこれる、さらにその体験がおもしろいところですね。

 

又吉さんは『炎上する君』を「自由奔放な発想力で紡がれた短編集」と表しており、その本を語る材料として、彼の姪が彼を"目から下のバケモノ"として書いたときの話をもってきている。

 

突然叔父になり、なんとか姪たちに好かれようと右往左往する又吉さんと、そんな彼を率直に避けようとする姪たちの話が、悲壮感をもって描かれているこの文章は、自由奔放な感性の素直さを如実に描いていた。

 

そんなむき出しの感性だからこそ描ける面白さもあり、そういうふうに書かれたのが『炎上する君』だよと。羨ましいほどに面白いのだと彼は書いている。

 

又吉さんは若い頃、どれだけ自分が自分であることを憎んできたかが伝わってくる文章でした。