物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

感情

 双子のせいか、親の顔色をうかがって生きてきたせいか、ぼくは人の感情に敏感である。敏感すぎてちょっとだけ肌に感覚を覚える。相手が怒ってぼくを睨んでいると、肌がピリピリする。一喝されると、大きい拳で殴られたような感じがする。イラっとしたのは、目の周りの肌がキュッと縮む感じがして伝わる。そのあと10分くらいはドキドキする。怒りの感情を向けられると、喉元にナイフを突きつけられている気分になる。相変わらず心が強くならないなと、今日久々に睨みつけられて思った。

 自分と相手の距離感も肌で感じる。自分が受け入れられない相手が踏み込んでくると肌に固いものが当たった感じがする。逆に自分が踏み込もうとすると、見えない壁に当たった感じがする。

 緊張していると、皮膚感覚の能力を全開にする。しゃべらなくなり、周囲の動きの機微をめちゃくちゃ見る。逆に、柔らかい感情に触れていると安心する。だからなるべく周囲の人には笑顔でいてほしい。ふわっとした雰囲気に包まれていたい。

 なんだか変なことを吐露したようになってしまって若干気持ちが悪い。ただこう書くと、たしかに自分は肌感覚で目に見えないものを捉えているような節がある。話がまったく変わって申し訳ないが、実は授業中に眠りに落ちると毎回頭を叩かれたような感触が残るのだ。もしかしたら亡くなったじいちゃんが背中にいるのかもしれない。厳しかったし。