又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで21
今回は、『イニシエーション・ラブ』の内容について。
『イニシエーション・ラブ』といえば、一昨年くらいに「最後の5分全てが覆る」というキャッチコピーとともに映画化されたので有名かと思います。
ぼくも映画館に観に行って、「覆ったわぁ〜」という感想を述べたような記憶があります。
「イニシエーション」というと「通例の〜」「ありきたりな〜」という意味ですが、あの映画はありきたりそうな2つのストーリーが、二階調化と左右反転の編集を施されてひっつけられたためにありきたりではなくなった、そんな映画だなと思いました。
今回書かれていた内容もなかなかない経験で、向こうから告白されて向こうに別れを切り出され、「タイミングが来るまで絶対待ってる」と言われた又吉さんの前を、別の男の自転車に乗った元カノが通り過ぎるというものでした。
なんとドラマティックというか、そんな辛い経験をまるでさっき体験したかのように書き出せる又吉さんはやはりすごいなと思いましたね。
何度もその場面を思い出したのだろうなぁという切ない気持ちになりました。