物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

宴会

 ぼくは宴会やパーティーを楽しめない人間である。参加すると、毎回異常なほどに冷静になってしまうのだ。呪いでもかけられているのかと思うほどに。とくに全員で曲に合わせて勢いのままに踊るとか、みんなで一発芸をするとか、そういった宴会は本当に苦手である。心底嫌なので、始まって30分後にはスマホで本を読み始める。そして1時間もするとそんな自分が宴会の雰囲気を邪魔しているのに耐えられなくなって、誰にも見られないところにこっそり移動して本を読みつつ終わるまで待つ。ときには途中で帰ることもある。宴会に参加するたびに、自分はやはり宴会に参加してはいけない人間だなと思うのだ。

 また、クラブに行った時もそうだ。みんなが楽しそうに踊っている場所に混じって自分も踊っていると、突然そんな自分を冷静に第三者目線で見つめる自分が出てくる。そしてそいつが囁くのだ。「あ、この曲そんな風に踊るんだ」「ずっと同じように体揺らしてるだけじゃない?」そんな声に耐えられなくなり、端っこに行って終わるのを待つか、帰る。宴会やクラブに行くたびに「もう参加するのやめよう」と思うのだが、生きていると「今の自分なら楽しめるのでは?」と思ってしまう瞬間がやってくる。毎度の後悔を忘れる自分が悔しい。

 だがそれらに参加するのに悪いことばかりではない。その空間から逃れるため、参加している最中は異常に集中力が上がる。考え事をするには最適な時間だ。