又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで38
今回は『袋小路の男』の内容について。
この紹介文のテーマは「ぼくが住んでいた古くて狭い家」だった。
本の雰囲気を一言で表し、それをテーマにして話を膨らませるパターンの紹介だ。
又吉さんが『袋小路の男』を読んでいるとき、実家にいるときのような居心地の良さを感じていたという。
そのテーマから膨らんだ話は
インターホンがなく独特の間で開けなければ鍵があってもなくても開かないと、実家をバカにされて恥ずかしい思いをしたというものと、
上京したあと他人が実家に住んでいるのが嫌で帰省するたびに見に行って、誰もいないことに胸をなでおろしたというもの。
これを「閉塞感」という消極的な言葉でパッケージし、恥ずかしさに肩をすくめてしまう姿や細い路地の脇にある小さな家の思い出を大事にしている様を想像させることで、『袋小路の男』の内容に結びつけて想起させるというテクニックだなと思った。