物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

荷物

 小学生の頃からぼくは、荷物の多い男だった。ランドセルには5教科の教科書を毎日入れて持ち運び、それ以外のは常に机に入れていた。家に教科書を置くことはなかった。高校に上がって教科書が増えても変わらなかった。ロッカーが与えられたので増えた教科書や参考書は全部そこにしまった。量が多く卒業前にはロッカーの扉が少し歪んでいたほどだが、そんなに渡す方が悪いのでたぶん今もそのままにしてある。重いものを運ぶことで体を鍛えたかったのもあるが、純粋に忘れ物をする可能性をなくしたかったのだ。次の日の時間割をみて荷物を入れ替えるのは面倒だし、忘れ物をして怒られるのも面倒。ならば全部持っておこうと思ったのだ。そして忘れ物をした人がいれば貸していて、学年の便利屋さんをしていた。

 その姿勢は大学に入っても残っており、買った教科書、もらったプリントは全てカバンに入れていた。今までと違いパソコンもカバンに入ってきたので毎日重いカバンを持ち歩くのは辛くはあったが、仕方ないと思いながら過ごした。そのおかげで体はだいぶ丈夫になった気がする。

 だがいつからか、荷物が少なくなった。なぜだろう。いよいよ重さに耐えられなくなったのかもしれないし、授業が減ったからかもしれない。後期からは3倍くらい重くなる気がする。

 そんなぼくは、旅行に行くときの荷物は異常に少ない。旅先での思い出を詰めて帰りたいのだろうか。