物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

本気

 ぼくは、何かに本気になるというのが怖い。高校のとき、剣道をやっている最中に契機が起こった。それまでのぼくは、バドミントンを趣味感覚でやっていた。始めたきっかけは中学でバドミントン部に入ったからで、仲の良い友達も多く在籍しており、とくにやめる理由もなかった。そして部員全員にランキングが振られており、ぼくの順位は大きく変動することがなかった。公式の試合にも出ていて、一回戦で勝って二回戦で負けるのがパターン。普段通りにがんばって、そのパターンが持続できればいいやという気持ちで続けた。試合に負けると悔しかったが、実は大したダメージではなかった。

 高校で剣道を始めると「インターハイに出る」という目標を立てた。戦略や自分の現状を考えた上での目標ではなかった。ただの無茶。口だけ。大きいことを言って承認欲求を満たしたかっただけだ。だから32試合やって勝ったのは1試合だけ。努力すればいけるだろうと楽観視していたぼくは悟った。インハイなんて行けない。極端な思考しかしないぼくは、そこで努力すると傷つくものなのだと自分に言い聞かせてしまった。

 今も、何かに本気になるのが怖い。自分が傷つくのが怖いから。ただ、もうそんなことを言える状況ではないこともわかっている。そろそろ積極的に傷つきにいく必要がある気もしている。わりとSっ気の強い人にウザ絡みして冷たくあしらわれたい気もしている。