物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

一位

 いつからか、一位を取ることにこだわらなくなった。中学のときは、テストで学年一位の友達に追いつきたくて必死で勉強した。自分の学力をあげるのに、一番効率の良い方法だと思っていた。高校の頃は、剣道県大会で一位になることを目指していた。そこまで努力したのかと言われれば答えに困るが、自分には無理だと思い知らされただけだった。

 大学に入ってからは、何かと競争をすることには関わらないようにしようと決めた。高校剣道でほぼ勝てなかったことがショックだった。自分が勝てる土俵で戦おうという言い訳をして逃げた。ぼくは自分を信じることを諦めたのだ。自分にできることなんてないと思った。

 それからしばらくして、ぼくはライターとして活動を始めた。ライターを始めて半年すると、記事のコンテストで賞をもらった。人生で初めてもらった賞だった。才能を認められた気がした。それから有頂天になっていくつか記事を書いた。あの賞は運が良くて取れただけなのだと思い知らされた。ライターの世界に足を踏み入れてみると、竹刀を握っていたあの頃と同じ感覚に襲われた。ぼくには無理だと、また諦めた。

 だけど、少し経って気がついた。この試合にはルールも戦い方も決められていない。ライターの世界にもいろんなやり方があるのだと。自分に合ったやり方を探そうと決めた。

 そしてだいぶ前、「スリランカ 風俗」のワードで検索一位をとった。これだと思った。