物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

儘事(ままごと)

 漫画などの創作物を読む時、ぼくはその設定に一番感動する。念能力とか助っ人する部活とか、よくそんな設定が思いつくなぁ〜と、その発想が羨ましくなる。そこには自分も面白いものを創作したいという願望があり、その創作欲求は昔、兄姉とままごとをして遊んでいた時間に由来する。

 兄姉と仲が良かった頃、ぼくらの遊びといえばままごとだった。牛乳パックやダンボールでおもちゃの家を作り、そこにおもちゃの人形や動物なんかを住まわせて、おもちゃの食品サンプルなんかを置く。それをそれぞれが自分の家としてもち、互いにほしいおもちゃを取引したり、自分の人形に設定をつけて話をしたりした。自分が面白い設定を作り、それをもとに作った話で兄姉が笑ってくれる時間が好きだった。とくに、たまにしか一緒に遊んでくれない姉の気を惹くために、どんな話をすればいいかとよく考えた。ゲームに興味が行きがちな兄の気を ままごとに引き留めておくためにどんな設定でどんな世界観を創れば良いかを考えた。ぼくにとって創作は大好きだった兄姉と遊ぶための手段だった。そのまま成長する中で、自分が面白いものを創らなければ人は離れていくという学びを得てしまったのだと思う。ただその後、自分は面白くない人間だと諦めてしまったから、ぼくは創作をやめてしまった。

 もしも、ほぼ他人として育った兄姉に「お前は面白いよ」と言ってもらえたら、自信が得られるだろうか。