物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

大学

 大学で何を学んだのかと言われれば、地理を学んだと答える。だがそれは田舎の小学校で英語を学んだと答えるようなものだと実感している。ぼくがこの大学で学んだことはほとんどない。だが大学生になって、人に興味をもつことがいかに大切かということを学んだ。

 大学1年の頃、40年ほど社長として生きてきた人と飲み会で話をしていた。そこには他にも社会人の方々がいた。ぼくはその社長の話を聞きたくて、他の人の話に興味がなかった。しかも若者に意見を押し付けるのが好き系なおじさんが多く、話しかけられると無意識に会話を速攻で終わらせていた。そのときのぼくを人が見たら、完全にシャットアウトしているように見えていたのだと思う。それを見ていた社長が言った。

 「君って冷たいんだね」

なぜかその一言に、ぼくは泣いてしまった。自然と、なぜ自分が泣いているかわからない、そんな泣き方だった。だが後になって振り返ると、その一言を受けた自分は、拒絶された人間の悲しさを脊髄反射的に理解してしまったのだと思う。

 その後、この世に面白くない話はないということを学んだ。聞いている話が面白くないのは、自分がその面白さを感じ取れないからだと。それから、何かを拒絶することをやめた。

 ここ数年で、人と話すのが面白くなった。自分とは違う世界で生きているという前提を共有しているからこそ面白い。だがどうしてもサッカーに興味がもてないのが最近の悩みだ。