物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

邂逅

   「今は、必死に生きているだけで報われる時代だな」と、親友と話した。昔、自分が頑張っているのだと、良い人生を生きているのだと、疎遠になった人たちに伝える手段は新聞やテレビで取り上げられることしかなかった。だがそこに、いわゆる"普通の人生"は出てこない。人の目を引き、人を驚かせるような波乱万丈さをもった人生だけが拍手を受ける。だが普通の人生を送っていても、そこには苦悩があり、叶えたい未来があり、ドラマがある。それは誰もが通る道だからこそ注目を浴びないが、ぼくはそんなドラマが好きだ。

  ツイッターをやっていると、疎遠になったと思っていた人から「いいねしました」という通知が来ることがある。何か大きなものに流されながら、必死に、けれど普通に生きてきた自分の人生を、彼らは見てくれていたんだなと。普通な自分には興味をもたず通り過ぎていったのだろうと思っていた彼らが、見てくれていたと知ると嬉しくなる。

  婚約したことについて書いた記事を、小学校で出会った、今は関係が切れたと思っていた人たちが読んでくれていた。読んだことを伝えてくれた。起こり得ないと思っていたことだった。たまらなく嬉しかった。直接お礼を言うのは照れるので、このような形で感謝を伝えさせていただきたい。

  過ぎ去った人たちに見せるための人生を生きたいわけではないが、見てくれている喜びを思いがけず感じられる、この時代が好きだ。