物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

魅力

 ここ数日、性癖の壁がメキメキと広がるのを感じている。様々な魅力を理解し言葉にできる人間になりたいという志は、自分の根っこから出てきたものであるようだ。すれ違うすべての女性の姿を見ながら、それぞれの魅力が何か、プレゼントのような言葉で描き出す努力を無意識にしてしまっている。それはまだ”性的な”という枕詞をもった俗なものであるが、まだ不明確な、しかし大いなる理想を目指すべく何かに導かれるような心地がしている。それは性別を越え、いやむしろ越えないベクトルを生みつつもあるが、また別の話。

 今日は徹夜明けだったせいか、目に映る”膨らみ”や”丸み”のすべてがエロかった。国宝はもとより肉のないマネキン、車のふち、小汚いおっさんの二の腕、すべてにセンサーが反応してしまった。マネキンに至っては何度抱きつこうとしたかわからない。寝不足によるバグの可能性もあるが、ぼくはそれを前進と呼ぼうと思う。マネキンを、車を、おっさんを、未だ性的にとはいえ愛せるかもしれない可能性を得たのだから。

 最近、手フェチという新しい世界を知った。なるほど確かに、手は人生を映す鏡。盲点だった。造形の美しさ、手にした苦悩と喜び。そのすべてをエロスと称する世界を実感できないぼくはまた、扉の前に立っている。

 「人の人生には、いくつもの夢のドアがある」と、ブライアン・Jは言った。そのドアをすべて開けた先に、人類愛の体現を願う。