物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

物差

 「お前のモノサシで測るんじゃねーぜ」

 昔、少年サンデーに載っていた『月光条例』という作品の主人公が、そんなセリフを言っていた。当時、親に抱いていた気持ちがどうにも形容できずモヤモヤしていたぼくは、そのセリフに感銘を受けた。

 彼らが彼らの基準で押し付けてくる”良い”をぼくは良いと思わない。ぼくが抱えていたのはそんな気持ちだった。だが、親にそれをうまく伝えることができない。そんなもどかしさをうまく言葉にしてくれたセリフを、当時よく親に使っていた記憶がある。

 最近、世にある美人やブスという基準も誰かのモノサシなのではないだろうかと思う。どんな女性にも魅力があり、それを言葉にしたいと言ったのに対して「ブスを褒めるのは上から目線」的なことを言われてそれを考え、こう思った。美人かブスかなんて自分で決めることも決めないこともでき、美しいと思えないのは自分の目が未熟だからと考えることもできる。それは自分次第だ。ぼくは、この世の全ての美しさを享受したい。いつの間にかもっていた他人のモノサシを使って、目の前の美しさに気づけない人生を歩むのはもったいないなと思うのだ。

 ぼくは、女性という存在に生かされてきた。だから全ての女性を喜ばせたいという気持ちもないではないが、一番は、もっと楽しく生きたい。そのためにより多くの魅力を感じられる人になりたいと思う。世界がもっと輝いて見えるはずだから。