物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

授業

 大学に対して不真面目なまま4年半が過ぎた。課外活動に精を出し、休学などをして「自分の人生のためだ」という大義名分のもとにいろいろ頑張った。実際、それらの経験は自分を好きにしてくれたし、人生のパートナーを贈ってくれた。過去の自分がしてきた選択を、ぼくは誇りに思っている。だがぼくは、学校という存在が自分にとって無利益なものであると頑なに拒み続けてきた。それはなぜなのか。先ほど受けていた日本史の授業の時間に答えが出た。

 大学の授業とは、セックスなのだ。それはどちらも、両者の積極性なしには始まらない愛の行為。授業とはそもそも、ほとんど誰もが受け身になってしまう時間。そんな状態で授業を受けても楽しいわけはない。マグロで良いわけがない。それに気づいたとき、自分の態度を棚に上げ、授業のやり方や在り方を批難してきた自分を恥じた。授業もセックスも、楽しむためには勉強をして取り組み方を学び、互いに気持ちよくなることで成立する行為。当たり前の日常として存在した授業だからこそ、当たり前のことを忘れていた。

 極論を言えば、ぼくは教授の前に裸を差し出せるくらいの気持ちで彼らに愛を伝えたい。彼らの研究者としての生き様、思考に費やした時間、調査に歩き回った距離、それらすべてを愛そう。それは決して上から注ぐものではなく、上目遣いを向けるものでもない。人として対等に、教授も大学も愛し尽くして卒業しようと思うのだ。