物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

600字作文

衰弱

「歳を取って体が言うことを聞かなくなるなぁ」というぼやきは、よく聞いたことがある。ぼく自身もそれを自分に感じることがよくある。つい1年前まで平気で徹夜ができていたのに、いつの間にか徹夜した翌日は1日何もできなくなったし、前より長く眠るように…

文章

良い文章を読むことで、書く文章は歳を取るのだと思う。もし文才というものがあるのなら、それを上げる方法はそれしかない。 幼い文章が何かを伝えることは難しいし、人の心を動かすこともできない。それは言いたいことを満足に言えない子供と同じようなもの…

意味

自分が生きている意味を知りたい。だいたいの人が人生のどこかでそう思うのだろうし、ぼくもそう思っている。初めてそれを考えたのは、中学の頃だった。 家に帰ると両親が喧嘩をし、父親が怒鳴り散らす。学校に行けばなんだか常に仮面をつけて話をしているよ…

面接

面接のときほど自分の素を晒してしまう時間はない。気のおけない友人といるときでも、1人で酒を飲んでいるときでも、面接の時間のほど無様に率直に自分の底が見えてしまうことはないはずだ。というのを今日、久々に面接を受けてみて思ったのだが、もしかした…

模索

仕事には、何をどうしていいかわからないという状況がある。しかしそんな状況にも光を見つけて解決していくのが仕事であるとよく言われる。それは大変理解ができるけれども、では無理なものは無理だというのはわがままだろうか。例えば、レベル5のポケモン6…

練習

大学に入ると練習することがなくなってしまった。なくなったというよりは、しなくなったというほうが正しい。入学当初はダイビング部に入って毎週日曜に泳ぎや救助の練習をしていたものだが、部内のごたごたがめんどくさくなってやめてしまった。 中学時代に…

開始

ぼくは飽き性でめんどくさがりだ。そのくせ、いろんなことに手を出したくなってしまう。ぼくにとって、今までやってきた部活やサークル、靴磨きなどの活動はすべて娯楽だった。なんだかんだ生きている必要があるので、その時間が少しでもおもしろくなればい…

母親

小学生の頃からぼくと母親の間では、小さな戦争が繰り返されてきた。些細な事で怒鳴り、常に「私の言うことを聞け」と命令する。私の言うことは一番正しく、私を中心に世界が回っていて、私の言うことを聞いていればお前は幸せに生きられるという態度でぼく…

親切

ぼくが5歳の頃、母親の買い物についてスーパーを歩いていたときのことだ。母親が買い物を終えてレジを待っていたとき、ぼくは一人で外に出たことがあった。そして自動販売機の前に立ち、並んでいるジュースを見上げていた。当時は自動販売機という名前を知…

文句

文句という言葉の意味は、半分削ってもいいのではないかと思う。不満や不平を述べる行為を、自分の頭の中から概念ごと消し去りたいと思う。一見自分の心を軽くするための行為のようだが、実際は自分で自分の足に重りをつけていくものだからだ。 もちろん、感…

感情

双子のせいか、親の顔色をうかがって生きてきたせいか、ぼくは人の感情に敏感である。敏感すぎてちょっとだけ肌に感覚を覚える。相手が怒ってぼくを睨んでいると、肌がピリピリする。一喝されると、大きい拳で殴られたような感じがする。イラっとしたのは、…

継続

ぼくの精神を作った言葉のなかに、Pillowsというバンドの言葉がある。ぼくは、Pillowsが好きだ。高校時代に出会って以来、ブームが去っては来て去っては来てを繰り返し、好きなバンドとして殿堂入りした。そんな評価のようなものをかざすのは大変心苦しいが…

睡眠

睡眠時間を管理する何かがあればいいのに、と思う。それは例えば、アプリの形をしていて、脳に埋め込まれたチップを操作するものだ。アプリで何時から何時まで睡眠をすると予約をすると、それに合わせて強制的に脳をシャットダウン、再起動をしてくれるとい…

平等

平等という言葉は、歳を取るごとにその定義がアップデートされていくものだと思う。小さい頃、幼稚園で先生が読み聞かせていた戦争の本を見て、世界に平等がないことを知った。そこには地雷で足を吹き飛ばされた少年の姿が写っていた。当時の私には、そんな…

風景

眠っている間に見た風景の中に、唯一はっきりと覚えているものがある。あの夢を最初に見たのは、幼稚園生のときだった。 その夢のなかでぼくは、幼稚園のバスに乗り、ほかのみんなと遠足に向かう途中だった。その夢は、上から俯瞰する視点で投影されていた。…

快楽

ぼくが快楽に浸った時、常に人が離れていった。たぶんそれは、最高に自分本位な時間だったのだろう。バドミントンをしていたときも、友達とゲームで遊んでいた時も、快楽に浸っているときはいつも、自分の勝利や楽しいという感情を守りたい時間だった。その…

応募

人生で初めて『応募』という行為をしたのは、小学5年のときだった。たまたま買ってもらった少年サンデーの懸賞ページを見て、「もしほしいものが当たったら何をしようか」というワクワクとともに、ハガキを出した。初めてハガキを出してからは、毎週欠かさず…

読書

私は他人の影響を受けやすい子供だった。「どうぶつの森がおもしろい」と聞けば親にどうぶつの森をねだり、「少年ジャンプがおもしろい」と聞けば、毎週コンビニで立ち読みをした。進学する大学を決める時も「琉球大学がいいぞ」と聞いて、琉球大学に行くた…

工作

ワクワクさんは、育ての親である。もしかしたら私世代のだいたいの人にとってはそうかもしれない。私の工作意欲は、彼に育てられた。 私は小さい頃、よく手近なもので何かを作るのが好きだった。例えば、ノートのページを切って小さく厚い本を作ったり、液体…

理解

「理解とは、あなたにとって何ですか?」と聞くと、「感覚である」と、彼は言った。漢字を見ると『理を解くこと』であるが、それは物事に対してのみであると。人を理解する場合においては、それは感覚と呼ぶに等しいものだと。 彼は、紛争解決を仕事とする人…