又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで⑥
今回は、『万延元年のフットボール』の内容について。
この本の紹介として書かれている文章のテーマは、祖父や先祖が今を生きる自分の行動に与えている影響、というものだった。
正直に書くと、今回の文章は本の紹介と体験談の部分のつながりが希薄だったように思う。
『万延元年のフットボール』は、曽祖父が起こした万延元年の一揆を、ひ孫が現代に起こそうとする物語だ。
この文章の最後に、「祖父を始めとする先祖の何かが僕を突き動かしている瞬間が確実にあるような気がするのだ」という一文がある。
個人的には、祖父と自分のつながりについて書かれたほうが、当本の内容にマッチするのかなと思うが、「祖父とはどんな人だったか」という話をメインにもってきたのはなぜだろうか。
ぼくの頭では「前者の話があまり思い浮かばなかった」としか思いつかないが、何か意図があったのかもしれない。
ただ、今回の文章は書き方がとても参考になるものだった。
「家にくる虫は全部おじいちゃんだから叩いちゃダメだよ」と言っていたおばあちゃんが、「翌日、昨日の自分の言葉を忘れたのか丸めた新聞紙でゴキブリを叩いていた」という部分があった。
そういえば自分は、こういう小話をオチとセットで入れることをしてこなかったなと思った。
参考にしたい。