物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

文章

 良い文章を読むことで、書く文章は歳を取るのだと思う。もし文才というものがあるのなら、それを上げる方法はそれしかない。

 幼い文章が何かを伝えることは難しいし、人の心を動かすこともできない。それは言いたいことを満足に言えない子供と同じようなものだ。話し言葉と同じように、書き言葉もより多くの語彙を習得することで伝え方が自由になり、用法を多く知ることでよりユーモアのある文章が書ける。文章が歳を取るというのは、そこに配慮が含まれること。より内容が深くなること。シンプルになること。端的な言葉のなかにより多くの逡巡や思考が入るようになること。書き方が増えること。そういうことだと思う。

 良い文章とは何だろうか。ぼくは最近読んだ小説の文章がそうだと感じた。その文章を読むと、書き手が記した映像が読者の頭のなかに思い浮かぶのだ。それは確実に伝えたいことが伝わっている文章である。文章とは本来、物理的に離れた人に何かを伝える手段であるため、文字なのに映像を届けられるというのが文章のひとつの終着点だと考える。

 ぼくが今まで読んできた小説は、若い文章が多かった。とくに好んだのはライトノベルのような文字通り軽い文章だったので、文章が歳を取らなかった。今になって、昔に書かれた名著を読める土壌が出来上がったので、良い言葉たちを取り込みながら良い文章を書いていきたい。