物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで19

今回は、『中陰の花』の内容について。

 

又吉さんが35歳になった世界を生きているぼくにとって、この内容は興味深かった。

 

『中陰の花』には、個性的な占い師が多く登場するそうで、今までに又吉さんが会って来た占い師とのエピソードが書かれていた。

 

見た目で判断する占い師、住んでいる環境から判断する占い師、「35歳・・・あっ!」と声を出し何事もなかったかのように振る舞う占い師などなど。

 

個人的には「君は優しい」を連呼する占い師を『占い師の癖に副担任みたいなことを言う奴』と書いていたのがツボだった。

 

生徒との距離感が近くも遠くもなく、印象に残ってない生徒に対して言うことがあまりない状況に陥った副担任のあるあるを表した面白い一文だと思った。

 

話は変わるが、35歳になったとき又吉さんは『火花』で芥川賞を受賞している。

 

前述の占い師に「偉人か犯罪者になる」と言われた彼は、偉人になった。

 

前々からの文章を読んで又吉直樹という人物に理解が深まっているぼくは、『第2図書係補佐』とは別の一冊の名著を読んでいる気分になってきた。

 

又吉直樹という人間の人生における浮き沈みを見ながら、安堵とある種の不安を抱いている。

 

だが、自分の人生の筆は自分で取るしかないのだ。