『ビルマの竪琴』
ぼくは今まで楽器にはあまり馴染みなく育ってきた。むしろ昔は嫌いなものだった。ぼくの姉は幼い頃からピアノを弾いていて、家にはグランドピアノがあった。しかもリビングにあり、それほど広くない部屋を圧迫していていつも邪魔だと思っていた。
ぼくはよくリビングでゲームをしていた。日曜日の昼間など、今日もゲームをやろうかというときにいつも姉がピアノを弾いていて、なかなかゲーム音を聞くことができなかった。それにほんの数メートル先で延々とピアノの爆音が響いているので、トラウマ気味にピアノの音が嫌いになった。
人生で触れた楽器はもう一つ。リコーダーだ。たいして上手くも下手でもないセンスで教科書の音符を吹いていた。その頃のぼくにとって楽器は、ただ音を出す物以外の何でもなかった。だから別に楽器は好きではないが、やはり楽器が弾けるというのはいつの時代も人間として徳が高いなと『ビルマの竪琴』を読んで思った。
『ビルマの竪琴』は、戦時中に「歌う部隊」と称された日本軍の話だ。水島という兵士が竪琴を演奏しながら、時に戦況を有利に運び、敵から逃げる為に使い、辛い時はみんなで歌って乗り切る為に使った。その音色で食人をする部族から逃げられたこともあった。彼はずっと部隊の中心にいたし、信頼されていた。楽器を弾く人は、その音色と共に人の心にいつまでも残り続けるのだと、『ビルマの竪琴』を読んで思った。
又吉さん風に本の紹介を書いてみましたが、めちゃくちゃ難しいです。
なんだかすごく話が浅くなってしまいましたが、『ビルマの竪琴』は本当にめちゃくちゃおもしろいです。