物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

関係

 ぼくの人間関係は、逃げるところから始まる。積極的に関係を作りにいくのが苦手なのだ。初対面の人に対してとくに顕著で、物陰から覗き見ながら会話をするようなコミュニケーションを心がけ、少しでも自分とは合わないという感覚や話すことでストレスを感じると逃げる。人間関係はそのように作るのがベストだと、小学生時代に学んだからだ。

 その頃は、仲の良い5人でよく遊んでいた。ゲームをしたりサッカーをしたり、ぼくは彼らを友達だと思っていた。けれど4年ほど経つと、避けられるようになった。突然「明日から話しかけるな」と宣告された。訳を聞くと「自分で考えろ」と言われた。当時のぼくには意味がわからなかったが、傷ついたことは確かだった。それから、どんなに仲良くなっても突然関係が切れることを知った。それによって自分がどれだけ傷つくかを知った。ならば最初から関係をもたない、もしくはいつでも裏切られる準備をしておこうと思った。・・・という保身にまっさきに走ったが、単に自分が身勝手なコミュニケーションの取り方をしていたのだと、少し考えるとわかった。

 今でもたまに小学生の頃の自分が出てきてしまうので、その度に押さえつける。ぼくは自分が傷つかない方法として、逃げることと相手ファーストという考え方を覚えた。我を出すのではなく、話を聞くことで自分を守ってきた。ずっと自分の首を締めてきたその考え方が、今では非常に役に立っている。