物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

破壊

  今日ぼくは、確実に生まれ変わった。鬱々とした殻を脱ぎ捨て、新しいぼくになったのだ。やはり自分が無意識に定めたタブーを打ち破ることは大切だと痛感しているのである。

  タブーと言えば、例えば人と話すのが苦手な人がヒッチハイクやナンパをやってみるとか、潔癖症の人が泥水に飛び込むとか、そういうのだ。自分には絶対にできない、それはしてはいけないと前世からの掟が定められているのだと思い込んでいることをあえてやる。その結果、自分の実力のなさに打ちひしがれて滝を登れなかった鯉のように海に引き返すか、努力しようと奮起して自分が決めたことをこなし続けるのは人それぞれであると思う。だがタブーを冒し打ち破ることで、新しい世界や価値観が入ってくることは確実だ。「毎日自分がやってはいけないと思うことをやれ」という言葉を、誰か偉い人が言っていた。そこに自分の成長があるのだと。だから稼げるのだと。だから自分の望む人生を手に入れられるのだと。ぼくのタイムラインでも日々、誰もが大きな声で叫び続けている。今までの自分を断ち切ることで、新しい世界に足を踏み入れるのだ。

  ということで今日ぼくは服を一新した。ファッショントレンドに敏感な大学生が数ヶ月で着飽きてしまうような服を店員さんに選んでもらい、試着室で購入した。黒いシャツと黒いスキニーで固めていた自分を打ち破ったのだ。何が起こるかは明日からの自分が知っている。