又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで32
今回は、『人間失格』の内容について。
太宰治の文章は、若者に「自分のことを書いている」「太宰だけが自分のことをわかってくれている」といった感想を抱かせるらしい。
人が若い時に体験するであろう葛藤や恥ずかしさ、悩み、話の噛み合わなさ、理解されない寂しさや言いたいことを言わない配慮などの状況で湧いてくる、スケールが大きすぎて捉えきれないような感覚を的確な言葉に変えて抽出されることで、そのような感想が生まれるそうだ。
たしかに、話している相手が自分と同じような経験をしていて、そのときに感じた思いや感情を自分の記憶にあるものと同じような言葉で話していたら、「この人、自分と似た感性をもっている。わかってらっしゃる」となる。
それをだいたいの若い人の気持ちの中に生み出せるの太宰さんの文章は、人に読んでもらうための、人の目を惹きつけるための文章としては極地なのではないかと思う。
まずは『人間失格』から読もう。
太宰治に依存しそうで怖いけど。