物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

取材

 大学でライターを始めてから、取材をするという経験をしている。企業の情報を新卒の学生に届けるための取材、成功者の体験を次世代に伝えるための取材、公共施設の情報を広く届けるための取材、観光施設の広報のための取材、怪しい求人広告の内容を伝えるための取材と、それなりにやってきたように思う。そして今日、取材について新しい発見があった。

 みなさんのイメージする取材というのは、ニュース番組のスタッフが街の人に話を聞いたり、新聞記者が仕事として行ったりするもの、という感じではないかと思う。たしかに取材とはもともと報道関連の言葉なのでそれは正しい。では取材という仕事の中身がどんなものかと言えば、取材対象者にどんなことを聞くべきかと考え、アポイントを取り、実際に話を聞く、というものだ。簡単に言えば人に話を聞く仕事である。だから自ずとぼくは「取材者として情報を得るために聞きたいことを聞く」というものだと思っていたのだが、今日、ぼくより遥かに長く取材をやっている方の話を聞いて考えを改めた。その方は取材についてこうおっしゃった。

 「取材中は、自分が聞きたいことを聞くというより、相手が話したいことを聞く」

取材とは、コミュニケーションをしているという事実の上で行われるもの。つまり取材される側が「話を聞いてもらえている」と実感できていない取材は取材にならないのだと気づいた。その前提を忘れず生きていきたい。