物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

叔父

 小さい頃、よく祖母の家に泊まるのが好きだった。祖母はとても優しい人で、いつもぼくたちを気遣ってくれ、時間があれば一緒に遊んでくれるので大好きだった。たまに、よくわからないタイミングで笑い出したが、なんだか楽しそうなその姿を見ていると自然と楽しい気持ちになれた。

 そんな祖母の家には小さな祭壇のようなものがあり、泊まりにいくと晩御飯の度にご飯をもっていくように言われた。「誰の?」と聞くと「あんたらのママのお兄ちゃんのよ」と言っていた。彼は生まれてすぐに、心臓に穴が空いて亡くなったそうだ。叔父がいたら、母親はもう少し柔らかい性格だっただろうかと思う。祖母は少し天然というか抜けているところがあるので、あの祖母の息子さんならば、しっかり者で同じような優しさをもった人だったのではないだろうか。そんな兄がいれば、母も一人でなんでも抱え込むことなく、辛さをちゃんと言葉に出せる人で在れたのではないかと考えた。

 もしいたら、という話をしてきたが、もしかしたらぼくたちには叔父がついていてくれているのかもしれないと時々思う。一度、霊感のある友達と守護霊の話をしていたときに「叔父かもしれない」と思った瞬間、ぶわっと首筋に鳥肌が立ったことがあった。個人的には「そうだよ!」という彼からのメッセージだと解釈したのだが、思い過ごしかもしれない。もし叔父がいてくれるのであれば、強い愛を感じられてとても嬉しい。