執筆

　ライターとは、文章で何かを伝える仕事だ。伝えるものは、商品の価値、生き方、お得情報まで様々。自分を表現してすっきりする自慰行為にもなる。だがライターの仕事の一番の価値は、人と人とをつなげて新しい何かを生むことにあるのだと、最近わかった。採用の場では、新しい環境で自分らしく生きる喜びを生むかもしれないし、考え方を伝えれば、誰かの生きる希望を生むかもしれない。

　ライターの仕事は、文章を書くことだ。その文章は記事やコピーなどの形に集約され人に届く。ぼくも記事を書いてきた。だが今まで人に何かを伝えるために書いてきた記事は、自慰行為でしかなかったのだと思い知った。

　今日までプロライターの方と、ある企業のコンセプトコピーを書く仕事をしていた。社長や社員の方を取材して、その会社が持つ価値をどのように表現していくか、その方向性を定め言語化する仕事だ。ぼくは自信をもってコピーの案を出した。だがそのすべてが盛大なオナニーであると評された。何度も何度も書き直す過程で、気づいた。ぼくはぼくの立場でその会社について書いていたが、大事なのはぼくが何を言いたいかではなく、社長や社員の方がどんな会社として見られたいかだと。ぼくはまず、取材対象になりきって言葉を紡がなくてはならなかった。

　この仕事を通して、人に文章で何かを伝える仕事の奥深さと面白さを知った。ようやく価値のある文章が書けそうだとワクワクしている。