物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

目標

 諦めていたことがある。それは大学を卒業することと、想像以上の自分になること。だがそれは立ち向かわなくてはならないことだとわかった。

 ぼくは、自分を見てもらいたくて大言壮語をする人だった。「口だけのやつだな」と言われながら生きてきた。中学のときは「京大に入る」と言い、大学に入ると「タイムバンクを広める」「靴磨きで食べていく」などと口にした。だがそこに、自分にできるという信頼はなかった。ただ気にかけてもらいたいだけだった。ぼくは今まで自分を気にかけてくれる人を好きになってきたが、それは自分で信じていない自分を信じてくれるのが嬉しかっただけだ。
 別に大言壮語が悪かったわけではない。問題は、自分にはできると信じきれなかったことだ。発言の裏には無意識に、しかしずっと「まぁ無理だけどね」という自嘲を孕んでいたのを覚えている。

 思えば、自分を信頼していない癖は小学生の頃から続いている。あの頃からぼくは「自分の言ってることは全部適当だから」と言っていた。その裏には、自分の発言が現実にならないことへの恐怖があった。「間違ってんじゃねーかよ」と責められるのが嫌だったのだ。ぼくに足りないのはたぶん、客観的に物事の可否を判断する力と、できることはどれくらいでできるかを戦略的に計画に落とし込む力、自分の発言を現実にする気概、失敗を繰り返して正解に近づける意思なのだと思う。そのための目標をどこに置こうか。