物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

練習

 大学に入ると練習することがなくなってしまった。なくなったというよりは、しなくなったというほうが正しい。入学当初はダイビング部に入って毎週日曜に泳ぎや救助の練習をしていたものだが、部内のごたごたがめんどくさくなってやめてしまった。

 中学時代にはバドミントンを熱心に練習していた。熱心と言っても、あれはたぶん部内での立ち位置を守るために練習していたのだと思う。自分の才能での天井が見えてしまってから、そう思い込んでしまってからは練習をこなす日々だった。

 高校時代には、剣道を始めた。あの頃はとにかく強くなりたかった。毎日朝昼晩、筋トレと素振りをし、竹刀を常に持ち歩いた。毎日竹刀を横に置いて寝た。人生で一番練習に打ち込んだ時期だった。学校のゴミ捨て場で廃材を集めて自分で打ち込み人形を作って練習したりもしてたが、32回あった試合で勝てたのは1回だけだった。でも、それでよかった。ぼくはたぶん試合に勝ちたくて剣道をやっていたのではない。自分が強くなったという実感を得たかった。結局、体は強くなってあの頃は満足していたが、心は弱いままだった。

 練習に必要なのは目的だ。「君の責任で何をしてもいい」と言われる世界にきて、ぼくは何をすればいいかわからなくなった。何でもやってみた。その結果、自分は書くことでしか行きられない人間だとわかった。だからこれからは書く練習をしていく。自分の思い通りの人生を作るために。