物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

彼女

 何で生きているんだろうと、ずっと考えてきた。自分の何が必要とされているのか。なぜ生かされているのか。そんなものは自分にないと絶望して、死のうと思ったことは何度もある。「必要ないのなら殺してくれ」と親に嘆願したこともある。別に死にたいわけではなかったが、誰からも必要とされていないのなら生きている必要はないと思った。そう成長する過程で学んだ。生きるためには、特殊なスキルをもち、人に讃えられる人間でなければならないのだと。だが生きるのがそれほど大変なら、死んだ方がマシだと常々思ってきた。

 そんな折、ぼくがそこにいるだけで喜んでくれる人に出会った。ぼくは最初その事実が信じられなくて、何度も確認した。本当に少しずつ、自分の本心を出していった。怯えながらも付き合いを持続させるために、かっこいい自分を作ったりした。だけど話をするなかで、怯えなくていいと、ただ思いやりをもてばいいと教えてもらった。それからは生きるのが楽しくなった。愛を伝えている限りぼくは生きていられると学んだから。それからは、愛をもって人と接しているときだけ生きている実感を得られた。これは負担ではなく、むしろ自分が生きている意味のように感じられた。ぼくは彼女に、生きる意味をもらった。どんなに探してもなかったものを彼女はあっさりと見つけてくれた。だから今、身近に彼女がいない環境で生きていると、再び意味をなくしてしまったように思う。