物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで17

今回は、『江戸川乱歩傑作選』の内容について。

 

ミステリアスというのはもしかしたら、行き過ぎた深読みなのかもしれないと思った。

 

江戸川乱歩という名前については、名探偵コナンの1話を通してみなさんよくご存知かと思う。

 

ぼくは詳細については知らないが、名前とミステリー小説作家であるということは知っている。

 

だがぼくの中でミステリーと言えば、江戸川乱歩名探偵コナンくらいの知見しかないので、内容を表すときに「謎解き」という言葉が先行してしまう。

 

だが、又吉さんの「ミステリー」についての書き振りを読んで、もっと身近にあるようで身近にないような現象といった意味を含むのかと理解し直した。

 

新しい気づきがもらえる本の紹介もまた素敵なので書けるようになりたい。

意味

 自分が生きている意味を知りたい。だいたいの人が人生のどこかでそう思うのだろうし、ぼくもそう思っている。初めてそれを考えたのは、中学の頃だった。

 家に帰ると両親が喧嘩をし、父親が怒鳴り散らす。学校に行けばなんだか常に仮面をつけて話をしているようで居心地が悪い。塾の先生だけが、話を聞いてくれた。そんな先生も転職のために塾を辞めて、当時のぼくには絶望的なほど遠くに行ってしまった。そんな中学生活のなかで、ぼくはずっと自分を取り巻く全てに、申し訳なく思っていた。親にお金の心配をさせ心をすり減らすことを強要し、そのせいでいつも喧嘩するほどの心の余裕を奪っている自分。友達を友達と信じきれず、自分を傷つけないために相手の気持ちに関係なく離れる自分。先生の都合に関係なく自分の気持ちの理解を強要する自分。必要ないものは世に存在していないと理解していた。それでも自分が生きているのはなぜなのか。わからなかった。今もわからない。

 だが思うに、生きる意味とは役割をまっとうし続ける中で自分にひっついてくるものなのだと思う。求めても見つからないけれど、生きてればいつの間にか持ってるものなのだ。中学時代のぼくには役割があり、今の僕にも役割がある。それぞれ内容は違うが、だいたいが次の日の自分を生かすこと。今は少しだけ人のためにすることがある。人のために何かをしていれば、いつか自分の生きる意味が見えると思う。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで16

今回は『告白』の内容について。

 

紹介している本のタイトル通り、文章のテーマは「告白」。

 

又吉さんとかつて同級生だった”告白フェチ”の女の子の話と、毛嫌いしていたのに好きになり告白してしまった又吉さんの人間らしい姿が描かれている。

 

告白フェチの女の子は、誰にでも告白をする女の子。

 

同級生の男たちにとっては告白されることが一種の通過儀礼になっていたという。

 

そんな子を毛嫌いしつつ、いつまでも告白されないことを意識しすぎた結果、又吉さんは彼女のことが好きになってしまって告白する、というのが話の流れなのだが、その後のことが描かれていない。

 

告白という話は成功か失敗かに関わらず、後日談がもっとも期待されるものだと思う。

 

それがないということは、又吉さんが書かれている「告白という発散の感覚さえ味わえない不完全燃焼極まりない終結」を表した文章構成なのだろう。

 

あえて書かないという手段を取ることで、過去の自分の気持ちを言葉でなく、物理的に読者の感覚のなかに表現できる高等テクニックがあるのだなと感心した。

面接

 面接のときほど自分の素を晒してしまう時間はない。気のおけない友人といるときでも、1人で酒を飲んでいるときでも、面接の時間のほど無様に率直に自分の底が見えてしまうことはないはずだ。というのを今日、久々に面接を受けてみて思ったのだが、もしかしたら準備不足だっただけかもしれないとも思う。だが事前情報のない面接には対策のしようがないじゃないかという言い訳をここに置いておこう。

 今日の面接のテーマは「今までに目標を立てて頑張ったことは何?」だった。正直、このテーマは話すのに困る。これまでの人生で目標を立てて頑張ってきたことはあるが、どれも成果が出てないからだ。剣道でインターハイに出たいと言っていた時も、ライターで稼いでいくと決めてからも、スマブラで兄を打ち負かそうとしていたときも、何一つ成し遂げていない。それほどに兄のルカリオは強かった。それは純粋に、自分の要望に対する行動量が足りなかった結果なのは誰よりも自覚している。本気でやろうと思えば、もっとやるべきことはあった。しかしそれをしなかった。その過去は、自分が目標に向かって頑張れない側の人間であるという名刺のようなものだ。それを渡さざるを得ない会話のテーマがこれなのだ。

 そんな思いを抱えつつ、今日はブログの話をした。来年の8月8日までに月10万の収益を上げると言った。人生は繰り返しではなく改善の連続である。あとは記事を書くだけだ。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで15

今回は『巷説百物語』について。

 

この本は、世に妖怪を生み出した最初の本だそうだ。

 

今までに遭遇した怪談があるかと聞かれて、あると答えられるのは日本人の約2割くらいではなかろうか。

 

あくまで人生経験上からくる肌感覚だが。

 

今回の文章からは、霊感のない又吉さんが不思議な体験をしたときの恐怖、その体験の微妙さゆえ人に話す際の恥ずかしさ、それでも誰かに伝えたい気持ちが溢れていて、同じく霊感のない自分を重ねた。

 

霊的な体験はあるけど内容が薄すぎて人に言えない『薄霊話』は、もしかしたら誰もが胸に秘めているのかもしれないなと思った。

 

ぼくも薄霊話を1つもっているが、例によって話すのが恥ずかしいので墓までもっていくことにする。

 

それまでにどこかで落っことしそうではあるけれど。