物書きの物置き

物書きなので、物語を書いて並べます。

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで31

今回は、『四十日と四十夜のメルヘン』の内容について。 テーマは「チラシ」だった。 『四十日と四十夜のメルヘン』のあらすじが、チラシを軸に作られているものなので、ということのテーマ設定だと思う。 そこに、高級住宅に囲まれる安アパートに住んでいた…

破壊

今日ぼくは、確実に生まれ変わった。鬱々とした殻を脱ぎ捨て、新しいぼくになったのだ。やはり自分が無意識に定めたタブーを打ち破ることは大切だと痛感しているのである。 タブーと言えば、例えば人と話すのが苦手な人がヒッチハイクやナンパをやってみると…

関係

ぼくの人間関係は、逃げるところから始まる。積極的に関係を作りにいくのが苦手なのだ。初対面の人に対してとくに顕著で、物陰から覗き見ながら会話をするようなコミュニケーションを心がけ、少しでも自分とは合わないという感覚や話すことでストレスを感じ…

『青春の門』

「青春の門を叩く」という経験は、大学生になると多くの人が経験すると思う。今まで関わったことない人たちと関わり、保護から外れて新しい世界に飛び込み、自分の意思で過去に思いつきもしなかったようなことをやってみる。子供という枠が外れて自力で人生…

幽霊

ぼくは小学生の頃、一人で家にいられない子供だった。学校から帰り家に誰もいないと、玄関先で誰かの帰りを待った。一人で家にいると、電気のついていない部屋や物陰の暗闇から得体の知れない者たちが出てきて異世界に連れ去られてしまう気がしていたのだ。…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで30

今回は、『逃亡くそたわけ』の内容について。 この文章の主題は題名通り「逃げる」だった。 メインの話は人生で培ってきた、ヤンキーから逃げる術。 目が合ったときにあくびをして目をそらすとか、コンタクトがずれたフリをするとか、8年修行した板前が親方…

鏡台

鏡を見ると、いつも思い出すホラー作品がある。それは中学生のとき、友達の家で遊んでいて観た作品だ。タイトルは忘れてしまったが、内容は確かこうだ。放課後の学校で数人の高校生が合わせ鏡をして遊んでいると、鏡の中から髪の長い白装束の貞子のような幽…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで29

今回は『銀河鉄道の夜』の内容について。 この紹介の文章は、宮沢賢治さんの文体で書かれていた。 テーマは「凝り固まった価値観」。 「優しい人が一度怒ると嫌な奴」「嫌な奴が優しいことをすると良い人」なんて価値観は誰が決めたのか、という疑問提起から…

逃げ出した男

世の中には、見守られて育った大人とそうでない大人がいる。小さな広告代理店で働くその男は、見守られてこなかった方の大人だ。少なくとも本人はそう思っていた。それは見放されていたのかと言われればそうではない。なぜなら彼は自分を不幸だとは思ってい…

植物

昔から植物を育てようとすると軒並み枯らしてしまう。小学生の頃、夏休みの自由研究カタログで一目惚れした食虫植物のウツボカズラを親に買ってもらったことがある。小さい瓶に可愛く収まり、水色の個体に根を伸ばすウツボカズラを眺めては恍惚とした気持ち…

双子

ぼくが住んでいた地区には、とくに双子が多かったように思う。小学生のときには、不審者が目撃されたときなどに地区ごとに集団下校をすることが多かった。総勢20名ほどの小学生が、6年生をリーダーとして一緒に帰るというものだったが、その中に双子が3組い…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで28

今回は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の内容について。 この文章は、親友だと思っていた人にお金とバイクを盗まれて、借金をなすりつけられたときの又吉さんの話だった。 突然霧の中に消えたようにいなくなった元親友を、かすかな記憶と…

悲観性の男

ある町に、願えば何でも叶ってしまうほどの強運な男がいた。だが彼は、物心ついた頃からずっと悲観性だった。両親にも同級生にも道端の犬にさえも、嫌われ続けてきたから。嫌われる理由がわからなかった。ただ辛かった。もう終わりにしようと決意した男は、…

音楽

ぼくは音楽を聞くとき、その歌詞を調べてから聞く。歌詞に支えられてきた過去が、その習慣を作った。小学生の頃はアニメソングが好きでサンデーやジャンプ系アニメの主題歌をよく聞いた。アニメソングには力があった。周囲の人間の大体が敵だと思い込んで生…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで27

今回は、『アラビアの夜の種族』の内容について。 この本の紹介のテーマは、「スケールの大きなもの」だった。 これは『アラビアの夜の種族』の物語としての壮大さ、「面白過ぎて読むものが破滅する」と言われる設定の『災厄の書』をの中身を書く作家の肝の…

戻らないもの

大学3年に進学した山田は、ゲームに明け暮れる日々を過ごしている。毎日やっているのは、世界中のプレイヤーとつながり、話をしながらプレイできるオンラインゲームだ。面白くない授業に出て、楽しくないアルバイトに時間を費やすような、ただ時間を溶かすだ…

『ビルマの竪琴』

ぼくは今まで楽器にはあまり馴染みなく育ってきた。むしろ昔は嫌いなものだった。ぼくの姉は幼い頃からピアノを弾いていて、家にはグランドピアノがあった。しかもリビングにあり、それほど広くない部屋を圧迫していていつも邪魔だと思っていた。 ぼくはよく…

土曜

『筋トレ』というサイトが好きで、よく眺めている。これは占いサイトなのだが「筋トレ」というワードで検索順位1位を取っている恐ろしいサイトである。このサイトには、毎週金曜日に翌週の運勢を各星座ごとに出してくれるコンテンツがあり、ぼくは金曜日を密…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで26

今回は、『人間コク宝』の内容について。 この文章のテーマは、「人間の本質を知ることの面白さ」だった。 そこに高校時代、高身長で常に丸刈りの怖い同級生の話があった。 常に無口で威圧感のすごい同級生だったが、いつもハイチュウを食べていてアニメオタ…

諦念

「自分にはできない」と諦めてきたことがある。人に好かれること、センスのいい人間になること、モテる男になること。中でも物語を作ることは、ちゃんと挑戦して諦めたことだった記憶がある。 思春期の頃、小説を読むことで精神が救われた。だから自分も小説…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで25

今回は『あらゆる場所に花束が…...』の内容について。 今回の文章は、「突き抜けた登場人物が出てくる」という要素に着目して書かれたものだ。 突き抜けた登場人物→どの枠にも収めることが出来ず、恐ろしく感じてしまう人達、として、学校に一度も来なかった…

美術

中高時代、美術の時間につくったぼくの作品は、大いに不評だった。絵や造形は大して得意ではなかったが、不評の的はそこではない。ぼくの描く絵は、同級生を不快にさせるものだったようだ。ぼくが描いた絵を見ながら、クラスの女の子が「私が一番嫌いな絵は…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで24

今回は『銃』の内容について。 又吉さんは小学生の頃、「落し物箱」のなかにある物品を物色するのが好きだったそうだ。 そこに並んだ片一方だけの靴下や体育シューズ、女子によって複雑に折られた手紙を見ていると、何かの答えらしきものや留めのない空想が…

彼女

高校の頃、彼女がほしすぎて「ケータイ彼女」という携帯ゲームをやっていたことがある。ぼくは女の子と話すのが本当に苦手で、目が合うだけでドキドキしていた。だけど好きな女の子ができ、彼女とイチャイチャしたいという青春の叫びを抱えていたぼくは、不…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで23

今回は『コインロッカー・ベイビーズ』の内容について。 この文章は、『コインロッカー・ベイビーズ』を読むのに8年かかったというところから始まる。 古本屋でこの本の下巻だけを見つけて上巻を見つけたら読もうと思っていた彼は、1年後にようやく見つける…

悪口

「あなたが私の代わりに悪口を言ってくれたおかげですっきりした」と言われたことが、今までで何度かある。そう言ったのは全員、自分がもっているものを平気で相手に渡してしまうような優しい人だった。他人に利用されたり蔑ろにされることがよくあり、しか…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで22

今回は、『山月記(李徴・山月記より)』の内容について。 みなさんは古典の教科書で、「李徴という詩人が苦悩の末に虎になった」という話を読んだことはないだろうか? ぼくは当時、授業でその話を聞いたときに『人間が虎になる』という場面を生々しく想像…

虚言

虚言という言葉を見ると、小学1年の頃から付き合いのあった同級生を思い出す。名前はくま。久間と書いて”くま”と読み、陰で「ベアー」と呼ばれていた。陰でというのは、彼が誰彼構わず気に入らないやつを殴る乱暴な男だったからである。名前に似合わず細身だ…

又吉直樹著『第2図書係補佐』を読んで21

今回は、『イニシエーション・ラブ』の内容について。 『イニシエーション・ラブ』といえば、一昨年くらいに「最後の5分全てが覆る」というキャッチコピーとともに映画化されたので有名かと思います。 ぼくも映画館に観に行って、「覆ったわぁ〜」という感想…

今さらながらスターウォーズを観たので感想を書いていく

こんにちは。 「面白い」をテーマにしたブログをしているのにスターウォーズを観たことがないのは絶対にダメだと思ったので観ました。 まずは4の『新たなる希望』です。 やはり名作と言われ世界中にファンがいるだけあってめちゃくちゃ面白いですね。 壮大な…